無人島にもっていくとしたら?

源氏物語 紫式部 やはりこれは原文でしょう! ちょっと チャレンジしてみてください。
源氏に登場する多くの女性の中で、私は一番弘徽殿の女御が 好きです。
あまり個性を感じられない 女性たちの中にあって、彼女だけが 自己を主張しているのです。 男性の理想のような紫の上や 明石の君、朧月夜等、性格は描写されていても、血が流れていることを感じさせないような女性たちの中で、彼女だけが生身の人間なのです。
訳で読むなら、一番原文に忠実なのは、与謝晶子。 これは少々難解です。原文に忠実なあまり、源氏の特徴である主語の略がそのまま生きています。谷崎潤一郎が 原文に忠実かつ 読みやすいようです。
これ以後の、円地文子、瀬戸内寂聴等はストーリーを知るためくらいの気持ちで読むのが いいのではないでしょうか。

竜馬が行く 司馬遼太郎 幕末の青春群像。多くの登場人物に血を通わせ、一人一人の息遣いが聞こえる、そんな作品だ。 これを読んだら あなたも竜馬にとりつかれる。いますぐ桂浜で 海を見ながら風に吹かれたくなる。
合わせて、世に棲む日々、花神等を読むと 気持ちは志士になる。
ただし、ついでに新撰組血風録を読むと どっちがいいかわからなくなる。

そしてだれもいなくなった アガサ・クリスティー クリスティーの代表作。 世間と隔絶された、孤島という設定、マザーグースの歌詞に合わせて一人づつ殺されていく登場人物。 推理小説のプロットとして、現在ではありきたりのことだが当時では極めて斬新な作品だった。 それ故、賛否両論が湧き起こったのは、スタイルズ荘殺人事件も同じ。
私は、彼女の作品の中では この作品を一番の挙げたい。

多情仏心 里見敦 ちょっと長い作品。現代では絶対生まれない。
古き良き日本が、ここにある。

問わず語り 後深草院二条 政治の実権は すでに貴族にはなく、武家社会に移っている。 宮廷は かつての華やかさを失い、退廃の中にある。 そんな中で少女から大人になり、さらに出家する 二条の物語。
一部は 宮廷のなかでの彼女の男性遍歴が描かれ、二部では 出家以後の諸国への旅が描かれる。
また、主要な登場人物である 後深草院と亀山院の争いが、後の南朝と北朝の争いの基となる。 作品では両院の確執は、単なる後継者争いであり、感情的な対立であるが、それが 大きな歴史の変換点のなるとは、誰も考えてはいない。
この時期、日本は蒙古来襲という大事件に見舞われるにもかかわらず、物語には何一つ触れられてはいない。 如何に当時の宮廷が政治から切り離されていたかがわかる。

真田太平記 池波正太郎

七瀬 三部作 筒井康隆 家族八景・七瀬ふたたび・エディプスの恋人からなる三部作。
テレパスの七瀬がお手伝いさんとして さまざまな家庭に入る。 テレパスである彼女は、好むと好まざるにかかわらず 心の中を読んでしまう。 そこにはドロドロとした 人間のエゴがある。
ただ、彼女は彼女の意思で 人の心を読むか読まないかの選択ができる。 しかし 彼女は、最終的には自分の意思で 他人の心を読んでしまうのだ。七瀬の中にも 人間のエゴがある。

杏っこ 室生犀星

だれも知らない
小さな国
佐藤 さとる 大人のためのファンタジー。 だれでも夢を見たことがあると思う。 小さな人が自分だけの友達だったらなんて。
それはドラエモンを独占する のび太と同じで、希望とエゴと幻想のでっかい塊。でも私も近くにコロボックルが欲しい。 

細雪 谷崎潤一郎 古き良き日本。。。と言うべきか?
もうこんな作品は絶対に生まれない。この時代の船場の生活や風俗を知るには一番良いと思われる。また失われつつある日本語の美しさもしかり。

豊饒の海
四部作
三島由紀夫 この作品は彼の絶筆になる。
主題は輪廻転生。
軍隊、皇室またそれに準ずる華族に対する 彼の考えが 見え隠れしている。
この後、市ヶ谷の駐屯地に於いて 割腹自殺した心情が 伺い知ることができる気がするのは、私だけだろうか?
人間は 大いなる力で生かされているのだろう。

シャイニング スティーブン・ キング

死の蔵書 ジョン・ダニング どきどき、はらはらの推理とミステリー。 舞台はアメリカの古本業界。 その業界は殺人事件が起きるほど、当たれば(掘り出し物を見つければ、)儲けは 大きいらしい。 ベストセラー作家のデビュー作・初版本なんてすごい値段になるらしい。 (日本では殺人事件が起こるほど高価ではないと思う。)
私がスティーブン・キングを読むきっかけになったのは この本のおかげ。スティーブン・キングも高価らしく、この本の中の業界内の話にしきりと登場するので 興味を持ち読むようになった。

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